📘 技術交渉シリーズ|第7回

三段階の交渉プロセス「理解・納得・行動変容」で迷子にならない

実際の会話の中で、三段階はどのように進むのか。ベアリングの会議を例に、理想的な流れを見てみましょう。
📅 2026年3月✍️ 久保 聰(SPEDi 株式会社)⏱ 約5分で読めます
これまでの記事では、技術交渉が「情報交換→関係構築→行動変容」という三段階を通って進む話をしてきました。もう少し直接的に言い換えると「理解させる→納得させる→行動を促す」です。今回は、この三段階が実際の会話の中でどのように進むのか、具体的な例で考えてみます。
💡 第一段階:理解
💬 ベアリング技術の提案会議
部品メーカー
「今回ご提案しているベアリング構造ですが、摩擦を低減する設計にしています。こちらが摩擦低減効果の比較試験データです。」
自動車メーカー
「それで、どの程度の効果がありますか。」

ここではまだ、技術の内容とデータを共有し、まず状況を理解してもらう段階です。

🤝 第二段階:納得
💬 理解から納得へ
自動車メーカー
「なるほど。摩擦低減の仕組みと効果は理解しました。」
部品メーカー
「エンジン上でどの程度効果が現れるか、計算を行いました。この運転条件の時に、特に燃費に効果があります。」
自動車メーカー
「確かに、技術的に筋が通っていますね。」

技術の内容が理解され、全体像が見えてきます。理解が、納得に変わる段階です。

🚀 第三段階:行動変容
💬 意思決定へ
自動車メーカー
「価格への影響はどうですか。」
部品メーカー
「部品単価で+2%程度になります。ただし、他のエンジンにも適用いただければ、価格は抑えられると思います。」
自動車メーカー
「なるほど。それなら社内で検討してみる価値はありそうですね。」

ここで初めて、実際の意思決定に関わる話になります。

技術者がやりがちな間違い:
「理解→行動変容」=無理強い
「いきなり行動変容」=超無理強い
きちんと順番を踏まえることが大切です。

📌 この記事のまとめ

  • 三段階「理解→納得→行動変容」は、会話の中で自然に進む
  • 理解の段階:技術内容とデータを共有し、前提を作る
  • 納得の段階:全体像が見え、技術的な筋が通ったと感じてもらう
  • 行動変容の段階:意思決定に関わる話が始まる
  • 順番を飛ばすと「無理強い」になり、交渉が崩れる
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