📘 AI時代、仕事大解体|第9回

実例:設計開発と交渉は、どう変わるか

直列の開発フローは崩れ、常時回転するループになる。そして交渉では——準備が完璧になるほど、本番に求められるものが変わる。
📅 2026年6月✍️ 久保 聰(SPEDi 株式会社)⏱ 約6分で読めます
典型的な新商品開発は、企画→開発→品質管理→営業確認→販売→データ蓄積→分析、という直列のフローです。なぜ直列か。前の工程が終わらないと次に進めないのは、人間が処理に時間がかかり、並列にすると情報が錯綜するからです。各工程は、情報の分断と処理能力の限界への対処として存在しています。
🔧 設計開発:直列から、常時回転するループへ

AIは複数の工程を圧縮・並列化します。数千の設計候補を同時生成し、評価基準でランク付けする。AIが顧客接点データを常時統合していれば、独立した「営業確認」ステップは消える。データがリアルタイムに統合されれば、後工程の「データ蓄積」も消える。直列の矢印は、常時回転するループに変わります。設計者の価値は「専門知識による判断」から「問いの設計」へ、品質管理は「検査」から「予防設計」へと移ります。

🤝 交渉:人間の最後の砦

交渉の「準備」——情報収集、相手分析、代替案の生成、落とし所の予測——は、AIが強力に支援できます。かつて達人が持っていた「相場感」「前例の記憶」「業界の暗黙知」は、AIが代替できる。しかし本番——相手と向き合う瞬間——には、沈黙の意味、目線の変化、「この人となら一緒に仕事がしたい」と思わせる信頼の構築など、AIが入り込みにくい領域があります。

🎭 準備が完璧になることの、逆説

AIが準備を完全に担うほど、交渉者に求められるのは「より人間らしい能力」です。情報量の差が消えれば、残るのは、その場で状況を読み、関係を築き、想定外に即座に対応する力。準備を完璧にこなすことはもはや最低条件で、差別化はその先にあります。国際交渉では、「この沈黙は合意か、困惑か」を文化的文脈の中で読む力が、いっそう希少になります。

かつては「準備力」で差がついた。
AI時代は「本番力」で差がつく
戦略の構築は、AIに任せる。本番の交渉は、人が行う。
AIに任せられる部分を完全に任せた後に残る「人間としての存在感」——これが、AI時代の交渉の付加価値の源泉になります。

📌 この記事のまとめ

  • 設計開発は「直列フロー」から「常時回転するループ」へ変わる
  • 設計者の価値は「問いの設計」、品質管理は「予防設計」へ
  • 交渉の準備はAIが担い、本番の信頼構築は人に残る
  • 準備が完璧になるほど「本番力」で差がつく
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次回|第10回(最終回)

AI時代の企業とは何か——そして、問いを立てる者へ

まさにこれが、SPEDiの考え方です。戦略構築はAIに、本番の交渉は人に。SPEDiのAI参謀が、技術者のタフな交渉に効く論点・対応策・シナリオを設計します。本番のテーブルに、自信を持って立つために。

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