📘 技術交渉シリーズ|第3回

技術者が誤解しているコミュニケーション

「ロジックは完璧なのに、なぜ反論されるのか」― その答えは、会議に見えない議題があるからです。
📅 2026年3月✍️ 久保 聰(SPEDi 株式会社)⏱ 約4分で読めます
技術者は、どうしてもこう考えがちです。正しいデータを整理する。分かりやすく説明する。そうすれば相手は理解する。そして理解すれば、合理的な結論に到達する。これは科学や工学の世界では非常に自然な考え方です。しかし、ビジネスの場では少し事情が違います。
😤 「理解しているのに、なぜ結論が変わらないのか」

こちらは解析結果を説明します。グラフもあり、試験データも揃っている。論理的にはかなり明確です。相手もこう言います。「なるほど、理解しました。」しかし、そのあとに続くのは「ただ、現時点では採用は難しいかもしれません。」

「ロジックは完璧。情報伝達も十分過ぎるほど。相手がまともな考えの持ち主なら、反対しないはずだ。」

思わぬ反論をされ、「ああ、この人はわかっていない、理解力がないのだ…」そう落胆したことはありませんか?

いえ、相手はおそらく理解しています。しかし、それだけでは納得しないし、行動も起こしません。
👁️ 会議のテーブルには、目に見えない議題がある

会議では、「技術の議論」と「意思決定の議論」が同時に進んでいます。そして多くの場合、技術者は前者だけに集中しています。

  • 既存のサプライヤーとの関係
  • コスト構造
  • 社内の承認プロセス
  • 失敗した場合の責任
  • 長期的な戦略

こうした要素は、資料にはほとんど出てきません。しかし意思決定には強く影響します。

🌏 グローバル交渉では「相手の視点」が特に重要

「相手は何をポイントに判断しようとしているのか」という視点です。文化によっても異なるこの視点、これを持つと会議の見え方が少し変わります。相手の質問の意味、沈黙の理由、議論の方向。それまで気づかなかったことが見えてくるようになります。

技術交渉とは、単に技術を説明する場ではありません。
相手の意思決定プロセスの中に技術を位置づけていくプロセスでもあります。

📌 この記事のまとめ

  • 技術の議論と意思決定の議論は、会議の中で同時に進んでいる
  • 「情報は理解した、でも納得していない」という状態はよくある
  • 相手は技術だけでなく、責任・コスト・組織的な文脈も見ている
  • グローバル交渉では、相手の判断基準・文化的視点も重要になる
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